覚える量を減らすためのやり方
過去問を1問ずつ数えて、覚える範囲を決めます。ここでは宅建士を例に、どこまで削れたのかと、その確かめ方を出します。
ここから下は宅建士で実際に測った数字です。
合計約5.4万字
表から自動で作った札
(合格ラインは33〜38点)
公式の正解と機械照合済み
(12年・14回)
ここから先は、宅建士を例に、覚える量がどこまで減るかを見せます。分析のやり方は、どの試験でも同じです。
1. 配点を、先に決める
合格ラインは例年33〜38点。満点は要りません。どの科目で何点取るかを先に決めると、捨てていい範囲が見えて、やることが一気に減ります。
| 科目 | 出題 | 目標 | 方針 |
|---|---|---|---|
| 宅建業法 | 20問 | 18点 | 主戦場。受験者平均は13問。ここで差がつく |
| 権利関係(民法など) | 14問 | 7点 | 半分でいい。完璧を狙って時間を溶かさない |
| 法令上の制限 | 8問 | 5点 | 面積・期間の数字を覚えれば取れる |
| 土地・建物・統計 | 5問 | 4点 | 常識で解ける2問+直前に見る統計 |
| 税・鑑定 | 3問 | 2点 | 非課税と特例だけに絞る |
| 合計 | 50問 | 36点 | 合格ラインを先回りして配る |
権利関係で7問落としても受かる。これを先に受け入れると、勉強は一気に軽くなります。 36点は最低ラインの設計で、範囲内を取り切れば上振れします。
2. まず宅建業法から始める
理由は2つ。①1問取るのに覚える条文がいちばん少ない ②過去問と同じ論点が繰り返し出る割合がいちばん高い。どちらも過去12年・700問を1問ずつ分析した実測値です。
| 科目 | 1問取るのに覚える条文 | 論点の繰り返し出題 |
|---|---|---|
| 宅建業法 | 5.5本 | 62〜100% |
| 法令上の制限 | 16.5本 | 44〜62% |
| 権利関係(民法など) | 23.9本 | 12〜25% |
繰り返しといっても、文章がそのまま出るわけではありません。本試験の肢の96.4%は過去の論点の再利用ですが、 その38%は正誤を反転させて出ます。だから文章の丸暗記ではなく、次の「表」で要件と効果を覚えます。
3. 覚えるのは、表47枚だけ
条文603本・27.8万字は読みません。1論点=表1枚に、出る区別だけを収めました。合計約5.4万字=条文の5分の1です。
| 量 | 時間の目安 | |
|---|---|---|
| 出題された条文ぜんぶ | 27.8万字 | 通読だけで11.6時間 |
| このサイトの表47枚 | 5.4万字 | 通読135分・1日1枚で47日 |
解き方は、10の型にまとまる
798肢を1肢ずつ解いて、条文の当て方を10の型にしました。表で覚えた区別を、どう当てるかの道具です。
| 考え方 | 何をするか |
|---|---|
| 適用 | ルールをそのまま当てる。条文や判例が答えを直接出す型。 |
| 要件 | 要件をそろえる。条文が挙げる条件を1つずつ確かめ、1つでも欠ければ効果は生じない。 |
| 原則例外 | 原則とただし書。まず原則を出し、次にただし書の条件が揃っているかを見る。 |
| 場合分け | 場合で分ける。前後・立場・向きで結論が変わるので、全部の場合を出してから設問がどれかを見る。 |
| 語 | 語の過不足を見る。善意か善意無過失かなど、条文が求める語が足されたり落とされたりしていないか。 |
| 効果 | 効果のすり替え。無効か取消しか、できるかしなければならないか。効果の言葉が入れ替わっていないか。 |
| 列挙 | 列挙に入っているか。条文が数を限って挙げているとき、設問のものがその中に入っているか。 |
| 該当 | 言葉の意味に当たるか。「第三者」「特定工作物」など、条文の言葉に設問のものが当たるか。 |
| 数字 | 数字のすり替え。年数・面積・金額・割合と、以上か超か。 |
| 主体 | 誰がするのかを見る。義務を負う人・権利を持てる人・請求できる人が入れ替わっていないか。 |
肢ごとに、どの型を使ったかを画面に出します。 結論は公式の正解と機械で照合済みです(798肢すべて一致)。
4. 覚えた法律の使いどころ
条文を科目別に並べても、いつ使うかは分かりません。目的をたどると、その途中の分岐で効く法律が決まります。だから科目名ではなく、自分がどの立場で何をしようとしているかから入ります。
| 立場 | そのときの場面 | 700問中 |
|---|---|---|
| 買主 | マンションを買う | 13問 |
| 土地を買って家を建てる | 8問 | |
| 一戸建て(新築)を買う | 5問 | |
| 農地を買う | 3問 | |
| 借主 | 事業用に借りる/住居を借りる | 27問 |
| 相続人 | 親から受け継ぐ | 13問 |
数字は過去12年・14回・700問を1問ずつ場面に割り当てた結果で、単年度ではありません。 買主の4場面で29問、借主で27問、相続人で13問あり、この3つの立場だけで69問を占めます。 立場ごとに束ねてあるので、1つの立場をたどれば、その下の場面はまとめて覆えます。 マンション13問と一戸建て5問を分けているのは、同じ「買う」でも確認する相手と手続きが違うためです。
分岐をたどると、法律に着く
「8種制限」という名前だけを覚えても、いつ効くのかは分かりません。逆に、目的を達成する手続きをたどって条件分岐に当たれば、そこで効く法律は1つに決まります。下の例なら「売主が業者か個人か」という分岐が、8種制限が働くかどうかを決めています。
マンションを買う(目的:管理と共用部分の負担まで含めて、住める状態で手に入れる)
┗ 売主が宅建業者か、個人かを確かめる
なぜ:業者が売主のときだけ、買主を守る8つの縛りが働くため
手続き:重要事項説明書の「取引態様」の欄を見る
→ 8種制限(33条の2から43条までの8つ)
達成:引渡しを受け、自分名義の登記が入り、管理組合の一員になる
この分岐を持っていれば、設問が「売主は宅建業者である」と書いた時点で、 使う条文が33条の2〜43条の8つに絞られます。 名前から入ると8つを毎回思い出すことになりますが、分岐から入れば思い出す対象は 「業者か個人か」の1つだけです。宅建業法20問のうち、この形で入口が決まる問が 1回あたり5〜6問あります。
判定の順番で、読む量が変わる
同じ条件をそろえても、確かめる順番によって読む量は変わります。上の段ほど、否定されたときに消える範囲が広くなるように並べてあります。1段目が否定されればその下は検討する必要がなくなり、下の段ほど扱う場合が狭くなります。
| 順 | クーリング・オフができるか | ここで終わる場合 |
|---|---|---|
| 1 | 売主は宅建業者か | 違えば8種そのものが働かない |
| 2 | 買主は宅建業者か | 業者なら適用されない |
| 3 | 申し込んだ場所は事務所等か | 契約した場所ではなく、申し込んだ場所で決まる |
| 4 | 引渡し+代金全額か | 両方そろったときだけ。片方ならまだできる |
| 5 | 書面で告げられたか | 告げられていなければ8日は始まらない |
| 6 | 8日を過ぎたか | 14日にするなど買主に有利な特約は有効 |
6段ありますが、最後まで降りるのは一部です。1段目で「売主が個人」と分かれば、確認は1回で終わります。 条文の並び順や配点順に並べると、この打ち切りが働かず、毎回6段すべてを確かめることになります。
6.弱点ノートを作り、減らす
学習の中心は、覚えることではなく答えられない論点を減らすことです。解けば弱点が増え、答え直せれば減ります。1日30分弱、すべてスマホで完結します。
① 解いて弱点を出す(20分)
本試験に出た問題を、そのままの形で解きます。外した肢は弱点ノートに自動でたまります。 正解しても「自信がない」と申告すれば、同じく残ります。
② たまった論点を読む(2分)
1論点が1枚の表で、試験で問われる区別だけが載っています。 読むのは、間違えた論点だけで足ります。最初から順に読む必要はありません。
③ 出し直して減らす(3分)
答え直せた論点は弱点ノートから消えます。消えた論点も、翌日→3日後→7日後→14日後→30日後と 間隔を空けて戻ってきます。寝ころんだまま親指だけで回せます。
増えるのは解いた分だけ、減るのは答えられた分だけです。 進み具合は、読んだ枚数ではなく弱点ノートの残りで見ます。 どの試験でも同じやり方で、対応している5試験すべてに入っています。
やり方は5試験とも同じですが、合格基準も出題の形も試験ごとに違います。 科目ごとに何問取りに行くか、どこを学習範囲から外すかは、試験別の学習ガイドに書いてあります。