ITパスポートに受かる勉強法
ITパスポートは、語と説明の対応を問う試験です。過去8回・800問を肢の形で分類すると、 「語の説明を見分ける」340問と「説明から語を当てる」242問、合わせて 72.8%がこの型でした。単語の文字列を覚えても、4つの説明文から 正しい1つは選べません。語と、一文の説明と、紛らわしい隣の語との区別を セットで覚えるのが最短です。このページはその根拠と、minipassでの回し方を書きます。
最終更新: 2026年8月10日。数字はすべて、配信中の過去問800問を数えた実測か、 IPA(情報処理推進機構)の公表値です。出どころと数え方は最後の節に全部書いてあります。
合格の条件は、2つあります
ITパスポートはCBT方式(会場のパソコンで受験)で、ほぼ毎日どこかで実施されて います。試験日を自分で決められる、という性質はあとで勉強計画に使います。 令和7年度は271,352人が受験し、合格率は48.6%でした(IPAの年度合計)。 受験した人のおよそ半分が受かっています。ただし、この数字には油断の罠があります。
出題は100問・120分。出題は3つの分野に分かれます。ストラテジ系(経営全般)・ マネジメント系(ITの管理)・テクノロジ系(ITの技術)です。 合格の条件が2つあります。
| 条件 | 基準(IPAの公表どおり) | 落ちる形 |
|---|---|---|
| 総合評価点 | 1,000点満点で600点以上 | ぜんたいの60%に届かない |
| 分野別評価点 | ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系のいずれも、1,000点満点で300点以上 | 総合が足りていても、1分野でも300点を切ると不合格 |
分野別も、それぞれ1,000点満点です。総合の1,000点を3つに割った内訳ではありません。 だから「3分野で300点ずつ取れば総合900点」にはならず、2つの基準は別々に効きます。 このページで「30%」と書いているのは、この分野別の1,000点に対する300点のことです。
知っておくべき採点の作りがもう1つあります。出題は100問ですが、採点されるのは92問です(ストラテジ系32問・マネジメント系18問・テクノロジ系42問)。残る8問は今後出題する問題を評価するために使われます。 どの8問かは受験者にも分かりません。得点も 正解数そのままではなく、IRTという方式の評価点です。だから本番で「いま何問取れたか」を 数えても意味がなく、1問に固執せず割合で考えるのが正しい態度です。 このガイドの目標設定がすべて「割合」なのは、この採点の作りに合わせているからです。
2つめの条件(分野別の足切り)が、この試験でいちばん見落とされる所です。 得意分野だけで点を稼ぐ作戦は、苦手分野が30%を切った瞬間に崩れます。 minipassの過去問の通しは、総合60%と分野別30%の両方を満たしたときだけ 「合格ラインを超えています」と出すので、自分がどちらの落ち方に近いかを 本番前に知ることができます(結果の画面には分野ごとの正解数も並びます)。
単語の暗記では、落ちる理由
配信中の過去8回・800問を、肢の形で分類しました(2026年8月10日・実測。 規則は最後の節)。
| 設問の型 | 問数 | 割合 | 例 |
|---|---|---|---|
| 語→説明を見分ける | 340問 | 42.5% | 「リバースエンジニアリングで実施する作業はどれか」に、別の開発手法の説明文が4つ並ぶ |
| 説明→語を当てる | 242問 | 30.2% | 「立体物に映像を投影して視覚効果を出す技術を何と呼ぶか」に、語が4つ並ぶ |
| 計算・数値 | 63問 | 7.9% | 損益分岐点、アローダイアグラムの日数、擬似言語(プログラムの手順を文字で書いたもの)の実行結果 |
| 複合・その他 | 155問 | 19.4% | 「a〜dのうち正しいものだけを全て挙げたものはどれか」の組合せ型など |
四捨五入のため割合の合計は100%になりません。問数の合計は800問です。
上の2つは同じ知識の表と裏です。合わせて582問(72.8%)が 「語と説明の対応」を持っているかを試します。年度ごとに数えても、この型は 100問中69〜79問で、どの年度も3分の2以上を占めます。
そして「語→説明」型の誤りの肢は、でたらめな文ではありません。 隣の実在用語の正しい説明が置かれます。RPAの問いにAIの説明が並ぶ、 という形です。だから「RPAという単語を知っている」だけでは選べません。 RPAが何であって、AIと何が違うのかまで持っていて、はじめて1つに絞れます。
これが、このガイドの結論の根拠です。覚える単位は「語」ではなく 「語+一文の説明+紛らわしい語との区別」。以下の回し方は、すべてこの単位を 作るための手順です。なお図・表・擬似言語つきの問は69問(8.6%)あり、 読み取りに慣れが要りますが、知識そのものは同じ単位で足ります。
minipassでの回し方
ITパスポート道場には3つの画面があります。実際の作りに合わせて書きます。
- 虎の巻: 分野ごとに「どの語が・8回で何問問われたか」を並べた頻度表。 全53枚(ストラテジ系21・マネジメント系8・テクノロジ系24)。
- 過去問: 年度を1つ選ぶと100問の通し。どの年度も問1からストラテジ系→ マネジメント系→テクノロジ系のかたまり順に並びます(8回すべて実測)。 途中でやめるときは「中断して一覧へ」。同じ年度をもう一度押すと続きから再開でき、 答えた分は消えません。正解は最後にまとめて出ます。
- 弱点(画面の中の見出しは「間違いノート(あとで直す)」): 過去問で外した問が 自動でたまります。1問ごとに問題文・自分が選んだ番号と正解・「誤りの原因」を選ぶボタン・ 「次回の判断基準」を書く欄が並びます。この画面から解き直すことはできません。 解き直すのは過去問の側で、当て直すとノートから消えます。
| 手順 | 何をするか | なぜ |
|---|---|---|
| ①虎の巻で「知らない語」を洗い出す | ストラテジ系から1日2〜3枚、 1枚1〜2分。語を見て「それが何か」を言えるか自分に問い、言えない語を紙に書き出す | 先に地図を持つ。ここで覚えきろうとしない(②で覚える)。 1日2〜3枚なら全53枚が18〜27日で一巡する |
| ②過去問を年度1つ、1日10問ずつ | 「中断して一覧へ」でつなぐ。 1日10問なら1年ぶん100問は10日で、必ず採点まで行ってから次の年度へ移る。 結果で正解を確かめたら、間違えた問の誤りの肢の用語を調べて「何の説明だったか」を 書き出す | 誤りの肢は隣の用語の正しい説明。1問で最大4語ぶんの区別が手に入る。 書き出す行為そのものが「語+説明+区別」の単位を作る |
| ③弱点を週に2回ひらく | たまった問について、 「誤りの原因」を選び、「次回の判断基準」を1行だけ書く。 ここでは解かない。消すのは④か、過去問の結果画面の「同じ年をもう一度」で 当て直したとき | 同じ外し方を繰り返すのは、知識ではなく見落とし方のくせであることが多い。 書いた1行が次に効く |
| ④100問120分の通しを本番までに2回以上 | 中断を使わず、本番と 同じ条件で。結果の画面に合否の判定と、分野ごとの正解数が出るので、 30%を切っている分野だけ①②に戻る | 合格条件が2つあるため。総合60%と、分野別30%の両方をここで測る |
1日20分なら「虎の巻2〜3枚(約5分)+過去問10問(約15分)」が目安です。 通勤や昼休みで区切れる長さにしてあります。計算・数値の型は63問 (7.9%)、つまり1回あたり8問前後あります。損益分岐点・稼働率・ アローダイアグラム・擬似言語と型が決まっているので、過去問で出会うたびに 型ごと手を動かして拾ってください。全部捨てるのは勧めません。 そしてテクノロジ系を丸ごと捨てるのは論外です。分野別30%の足切りに直行します。
試験日を先に決めると、効く
ITパスポートは年中受けられるので、「仕上がったら申し込む」が可能です。 しかしそれは大抵、いつまでも申し込まない結果になります。おすすめは逆で、 通しで60%を超えた週に、2〜3週間後の試験日を申し込むことです。 締め切りができると、弱点を消す速度が変わります。
4週間の設計例です(1日20分・通しの日は2時間)。 過去問は1日10問なので1週間で70問、1年ぶん100問は10日かかります。 下の表はその速さで組んであります。
| 週 | やること | 出口の目安 |
|---|---|---|
| 1週目 | ①をストラテジ系から回し始める。過去問は1年目を1日10問 (この週で70問) | 虎の巻を14〜21枚読み、1年目を70問まで進めた |
| 2週目 | 1年目の残り30問を解いて採点まで行く。 そのまま2年目に入る。③を週2回 | 1年ぶんの結果と、分野ごとの正解数を一度見た |
| 3週目 | 通し1回目(本番条件・まだ解いていない年度で)。 弱い分野の虎の巻と弱点へ戻る | 総合60%前後・どの分野も30%以上 |
| 4週目 | 弱点に書いた1行を確かめながら通し2回目。 超えたら試験日を申し込む | 総合65%。この余裕が本番のぶれを吸収する |
これは設計の例であって、保証ではありません。進みが速い人は2週間に 畳めますし、ゆっくりでも順番は変わりません。
成果が出ないときの、処方箋
| 症状 | 先に見るもの | 次の一手 |
|---|---|---|
| 総合が60%に届かない | 通しの結果に出る分野ごとの正解数 | 3分野が均等に低いなら②の量が足りない。採点まで終えた年度が2年(200問)未満なら、 まず量。1分野だけ低いなら次の行へ |
| 1分野だけ30%を切る | その分野の虎の巻と、弱点にたまったその分野の問 | テクノロジ系なら、まずセキュリティの3枚から。 この3枚に当たる問は800問中142問(テクノロジ系で虎の巻に当たった 304問の46.7%)で、回収がいちばん速い |
| 同じ問題を何度も落とす | その問題の誤りの肢 | 落ちる原因はたいてい「語は知っているが、隣の語との区別が付いていない」。 その問題の4つの肢がそれぞれ何の説明かを調べて書き出す。1問でやめてよい。 書き出す行為そのものが区別を作る |
| 続かない | 最後に解いた日 | 量を1日10問に落とす。ゼロの日を作らないほうが、まとめて2時間より残る。 それでも止まるなら試験日を先に申し込む(「試験日を先に決めると、効く」の節) |
よくある質問
全くの初心者でも受かりますか
受かります。令和7年度の合格率は48.6%で、受験した人のおよそ半分が受かっています。ただし分野別の足切り(3分野それぞれ1,000点満点で300点以上)があるので、得意分野だけの一点突破はできません。3分野を薄く広く回すのが構造上の正解です。
勉強時間はどれくらい必要ですか
人によるので約束しません。代わりに量で言うと、1日20分(虎の巻2〜3枚+過去問10問)で4週間なら、虎の巻53枚を一巡し、過去問は約240問(100問の通し2回を含む)に触れます。収録800問すべてを解く設計ではありません。定着の速さには個人差があります。
計算問題は捨ててもよいですか
全部は捨てないでください。実測では計算・数値の型は63問(7.9%)で、1回あたり8問前後あります。損益分岐点・稼働率・アローダイアグラム・擬似言語と型が決まっているので、過去問で出会った型だけ手を動かして拾い、初見の複雑な計算は本番では後回しにする、が配分の正解です。テクノロジ系という「分野」を捨てるのは足切りに直行するので論外です。
過去問だけで受かりますか
過去問の文章の丸暗記では足りません。設問の72.8%は語と説明の対応を試す型で、「語→説明」型の誤りの肢には隣の用語の正しい説明が並びます。過去問を解くとき、誤りの肢が何の説明かまで調べて書き出すのが近道です。
シラバス改訂で古い過去問は無駄になりませんか
なりません。年度ごとに数えても「語と説明の対応」型は100問中69〜79問で、どの年度も3分の2以上。この主軸は8回を通して変わっていません。一方で新しい用語は足されていくので、過去問は新しい年度から順に解くのが効率的です(現行シラバスはVer.6.5)。
minipassは無料ですか
無料です。学習の中身は会員限定なので、開くにはアカウントが要ります(登録も無料)。進み具合は端末をまたいで引き継がれます。
数字の出どころを、全部書く
・設問の型の分類: 配信中の過去8回800問を肢の形で機械分類した実測(2026年8月10日・minipass)。
規則は「4つの肢がすべて数値なら計算・数値/肢の平均が18字以上(説明文)なら語→説明/
12字以下(語)なら説明→語/a,b,cの組合せ表とどれにも当たらないものは複合・その他」。
迷うものは複合・その他に寄せているので、72.8%は少なめに出た数字です。
・分野のかたまり順・図表つき69問・虎の巻53枚: 同じ配信データの実測。
・セキュリティの3枚に当たる142問: シラバスの小分類ごとに過去問を数えた台帳
(exams/itpassport/data/qmap.json)から、同じ問を二度数えない形で集計した実数です。
虎の巻の1枚1枚に出る問数は小分類ごとの延べ数で、1つの問が複数の小分類に当たるため、
53枚を単純に足すと800問を超えます。
・受験者数271,352人・合格率48.6%: 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表(平成21年度春期以降)」(2026-08-09取得・令和7年度の年度合計)。
出典PDF。
・合格基準・採点対象92問・出題数100問・試験時間120分: IPA「ITパスポート試験の基準と出題情報」(2026-08-09取得)/IPA「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱 Ver.5.6」(2026-08-10取得)。
・シラバスの版(Ver.6.5): IPA「ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5」(2026-08-09取得)。
・このページは確かめられない数字を載せません。「合格者の平均勉強時間」のような
当サイトで測れない数字は、書いていません。
この道場の弱点ノートがなぜ効くのか、どう使うのかは「間違いだけを、解き直す勉強法」にまとめてあります。